【クライミングの種類1】ルートクライミングとボルダリング。フリークライミングとエイドクライミング

クライミングは、高い壁をロープで安全確保しながら登る「ルートクライミング」と、低い岩をロープをつけずに登る「ボルダリング」とに大別できます。
また、ルートクライミングは、登るための道具を使わない「フリークライミング」と、道具を使う「エイドクライミング」とに分けられます。

ルートクライミングとボルダリングの違い

クライミングは様々な観点から分類ができますが、「登る壁の高さ」と「安全確保のためのロープを使うか使わないか」の2点から見ると、ルートクライミングとボルダリングにわけられます。

ルートクライミングとは、比較的高い岩壁を、安全確保のためのロープを装着して登るクライミングです。

一方、比較的低い岩または壁を、ロープをつけずに登るのがボルダリングです。

これらの区別は、アウトドアでも、クライミングジムでも同様です。

ボルダリングについては、次の記事でも説明しているので、参照してください。「クライミング」と「ボルダリング」の違いをご存知?

高さによる区別は相対的なもの

この「高い、低い」という区別は相対的なものです。
ボルダリングでも10m近い高さの岩を登るルートもあります。こういう高い岩のことを特に「ハイボルダー」といいます。

一方、ルートクライミングのルートでも、わずか5mほどの高さの場合もあります。そういうルートをロープをつけて登ればルートクライミングですし、つけずに登ってボルダリングと呼ぶこともできます。

したがって、登る高さによる区別は相対的なもので、安全確保のためのロープを使うか、使わないか、という点がどちらかといえば本質的な違いとなります。

ルートクライミングは、フリーとエイドとに分けられる

ルートクライミングは、「フリークライミング」と「エイドクライミング」とに分けられます。エイドクライミングのことを「人工登攀」ともいいます。また、フリークライミングを「フリー」、エイドクライミングを「エイド」と略することもあります

フリークライミングは、自分の肉体と自然のままの岩だけで登る

フリークライミングとは、登るために道具を使わず、自分の肉体だけで、ありのままの岩を手がかり・足がかりにして登るクライミングのスタイルです。

ロープやハーネスなどは使いますが、これらはフォール(滑落)したときの、安全確保のためのもので、ロープを使って登ることは、フリークライミングのルール違反になります。

また、「ありのままの岩を登る」ことも重要で、登りやすいように岩を削ったり、岩になにかを取り付けたりといった人工的な加工をすることも、フリークライミングでは許されません

クライミングジムの人工壁は、アウトドアの岩場をシミュレートしたものですから、もちろん人工的なものです。

エイドクライミングは、登頂のために手段を問わない

一方、エイドクライミング(人工登攀)とは、登るために積極的に道具を使うクライミングです。この道具を使うにも、様々なパターンがあります。

極端にいえば、はしごやステップのような人工物を岩に設置して登るのも、エイドクライミングと言えます。フリークライミングとは違い、ロープをつかんで登ってもOKです。登ることができれば、その手段は「何でもあり」なのが、エイドクライミングです。

あるいは、ほとんどフリーで登れるクライミングルートの一部に、まったく手がかりのない箇所(ブランクセクション)があったときに、そこを登るため、岩にボルトなどを打ち込み、そこにアブミ(足がかり)をかけて登る、といったスタイルもあります。

フリークライミング岩場と、エイドクライミングの岩場

通常、フリークラミングで登る岩場と、エイドクライミングで登る岩場は、別の場所です。

フリークライミングは、それ専用に開拓されたゲレンデで登られるのが普通です。シングルピッチの短い(長くても25~30mほど)ルートが中心です。

一方、エイドクライミングは、アルパインクライミング(頂上に登ることを目的としたクライミング)の一部して利用されるのが普通です。

アルパインクライミングについては、後日、別の記事で説明します。

基本的に、困難なフリークライミングの方が価値が高いとみなされる

フリークライミングの思想が今ほど普及する前は、山頂の到達することがクライミングの目的であり、そのための手段はあまり問題にされませんでした。そのため、簡単なルートでもエイドクライミング登ることに対して違和感がなかったのです。

しかし、フリークライミングの思想、スタイルが普及した現在では、「フリーで登れるところは、なるべくフリーで登る」というのが、「望ましいスタイル」「良いクライミング」であるというのが、クライミング界の共通認識になっています。

それは、「より困難なことへのチャレンジに、より高い価値がある」というのが、クライミングの母体となったアルピニズム=冒険としての登山の大前提だからです。

そのため、もともとはエイドクライミングで登られていたクライミングルートを、フリーで登る「フリー化」も、フリークライミングの初期には頻繁に行われていましたし、現在でも行われています。道具をつかって登っていたルートを、使わずに登るのですから、一般的にはフリー化した方が難しくなります。

とは言え、山頂を目指して数100メートル、時には1000m以上の高さを登っていくアルパインクライミングでは、現実的に、フリーで登るのは難しいこともあります。また、ごく一部の達人的なクライマーはフリーで登れても、その他大勢の普通のクライマーは、エイドじゃないと登れないということもあります。

そういう場合には、やむなく(あるいは積極的に)エイドクライミングが使われます。

フリークライミングは、さらに「スポーツクライミング」と、「トラッドクライミング」とに分けられます。この違いについては、次の記事をご覧ください。
【クライミングの歴史2】冒険からスポーツへ

 

最後に、以上の分類を図にまとめておきます。

161130bunrui

同じカテゴリーの記事