登れないのは力が足りないからではない! ボルダリング初心者はまず登る回数を増やす

ボルダリング初級者の人が「腕の力が足りなくて登れないよー」と言っているのを聞くことがあります。でも、それは勘違い。ボルダリングの中級までなら筋トレは必要ありません。

「力がないから登れない」は、初心者によくある勘違い

ボルダリング初心者には、8~7級くらいのやさしい課題はだいたい登れるようになってたけど、5~6級くらいの課題になると登れないという壁にぶつかることがよくあります。

友だちと一緒にボルダリングをするのはとても楽しいですが、一緒にはじめた友だちは登れるようになった課題が自分には登れないと、焦りを感じてしまうこともありますよね。

「あのホールドがどうしても持てない」
「手は届くけど体が止まらない」
「どうしたら止まるのか?」

そんなとき、よくある勘違いが次のようなものです。

「そうだ。力(筋力)が足りないから保持できないんだ。筋トレをしよう」

そして、懸垂だとか、ハンドグリッパーだとか、筋力を鍛えることをはじめてしまう人がけっこうたくさんいます。特に、男子には多いですね。

しかし、これは勘違いで、あまり効果がありません。

自転車に乗るために足の筋肉を鍛える?

たとえば、自転車に乗るときのことを考えてみましょう。

仮に、いまあなたが自転車に乗れないとして、これから自転車に乗る練習をはじめるとします。当然、最初はうまく乗れません。そのときに、「自転車に乗れないのは足の筋力が足りないからだ」と考えて、スクワットで足の筋肉を鍛えたら、自転車にうまく乗れるようになるでしょうか? 当然、答えは「No」で、明らかに無駄な回り道です。それよりも、自転車に乗ること自体の練習をした方がいいに決まっています。

では今度は、すでに自転車に乗れるあなたが、自転車のスピードレースに出るとします。一生懸命練習しても、なかなかタイムが伸びません。その時に、「足や背中の筋力が不足しているからだ」ということで、そういった筋力を強化する筋トレをしたとします。この場合は、正しいやり方をすれば一定の効果は見られるはずです。

つまり、一定の技術を身に付けている人が、プラトー(上達が止まってしまう状態)になったときに、そこからさらに一段のパフォーマンスのアップを目指すときには、競技と関係する筋肉を鍛えることは、有効になります。どんなジャンルでも、たいてのアスリートはオフシーズン(試合が近くないとき)には、なんらかの筋トレ(実際の競技以外のトレーニング)をするのが普通です。

(スポーツのパフォーマンスとは関係なく、フィットネス的な意味や怪我防止など、一般的に健康的な生活をするためにも筋トレは有効ですが、ここではそういう話は省きます)

ボルダリング中級までなら、筋トレは特に必要なし

クライミングの場合でも、ある程度の段階までは「筋力が足りなくて登れない」ということはほとんどありません。

もちろん、まったく力がなければ、どんな課題だって登ることはできません。しかし、「はしご」が登れる程度の力があれば(つまり、普通の人ならだれでも)、中級くらいまで課題を登る筋力は十分です。中級以上の課題になれば、もっと指の力などが必要になるものもありますが、それは登っているうちに自然とついてきます。

ボルダリングをはじめて、最初の数回は、前腕などが筋肉痛になるはずですが、そのうちにあまり筋肉痛は起きないようになってきます。それは、登っているだけで自然に筋力がアップしているからです。

一般的にはボルダリングで2~3級くらい、リードクライミングなら5.11台までなら、登ること以外に、特に筋トレなどをする必要はないと思います。(このあたりは、課題の種類や、その人の過去のスポーツ経験、仕事での運動量などにもよって違いはあるので、おおまかな目安です)

ボルダリングの初段以上や、リードクライミングの5.12以上を登る人でも、「筋トレなど、まったくしたことがない」という人もたくさんいます。そこからもわかるように、登ること自体の方がずっと大切なのです。

もっと登ろう!

言い換えると、クライミングの初級から中級までの人が登れない理由は、力(筋力)が足りないからではなくて、技術・テクニックが足りないからです。

したがって、初級者から中級者に必要なのは筋トレではなくて、テクニックを身に付けるトレーニングです。そして、テクニックを身に付けるトレーニングとしては、ボルダリング、クライミングそのものをたくさんすることが一番です。

グレードが上がってく達成感も、ボルダリングの大きな魅力のひとつです。さあ、登りに行きましょう!

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