スポーツクライミング人口は60万人?

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『日経MJ』2016年12月14日号1面
先日の『日経MJ』紙で、スポーツクライミングについての記事がありました。記事内で、日本山岳協会がスポーツクライミングの「愛好者」を60万人としていますが、個人的にはやや過大(盛り過ぎ)ではないかと疑問を持っています。

スポーツクライミングなど、東京オリンピック新種目を採り上げた『日経MJ』紙記事

『日経MJ』紙の2016年12月14日号の1面は、「新種目 遊び×おしゃれ 消費に新風」という記事でした。2020年東京オリンピックで新たに採用される「スポーツクライミング」「サーフィン」「スケートボード」の3種目について、ファッションや他の消費との関連でレポートしています。
「消費」と結びつけて論じるのは、同紙の性格上、当然のことではありますが、スポーツクライミングとファッションって、どうなんでしょうね?

スケートボードなんかは、たしかにストリート系の若者のファッションとの親和性が高いというか、むしろファッションの発信源にもなっているのでしょうが。

男子クライマーの一番のおしゃれは、上裸になって、シックスパックの腹筋とデコボコの背中を見せることですから(?)、あまりファッション消費とは関係ないのではないかと思います。私の周りのクライマーだけ、かもしれませんが。

日本山岳協会は、スポーツクライミング愛好者数をどう調べたのか?

それはともかく、この記事で気になったのは、スポーツクライミングに関して「日本山岳協会によると、国内の愛好者数は約60万人、ジムの数も435(15年)と前年比約3割増えた」という記載です。

あくまで「スポーツクライミング」の愛好者ですから、いわゆる「本ちゃん」やアルパインクライミング、フリーでもトラッドクライミングを中心に楽しんでいるような人は含まれていないのでしょう。

それにしても、日山協がこの60万人という数字をどうやって把握、推計したのかが気になりました。

クライミングジムの利用者はカウントできるでしょうが、ジムには行かずに、アウトドアの岩場だけでスポーツクライミングを楽しんでいる人も、たくさんいます。そういう人をどうやって把握しているのでしょうか? ジムでボルダリングを楽しんでいる「ボルダリング人口」、ならわかりそうですが。

日本山岳協会(日山協)のWebサイトをざっと見てみたのですが、数字の根拠について書かれた資料は見つけられませんでした。

もしご存じの方がいらっしゃいましたら、お教えいただけると嬉しいです。

クライミングジムの数から推計してみる

まあ、仮に「60万人」がだいたい正しいとして、愛好者の数としては「意外と多いな」というのが私の感想です。「愛好者」というからには、週に1回か、最低でも隔週くらいでジムとか岩場で登っている人ですよね。そんなクライマーが60万人もいるかなあ?

少し考えてみると、クライミングジムが435あるとして、毎週~隔週で1回登りにくる「愛好者」が、平均で1000人いれば、43.5万人になりますよね。でも、都心の人気ジムでも、そんな数字にはなかなかならないと思います。まして、地方のジムではその10分の1もいるかどうかではないでしょうか?

岩場だけで登っているクライマーもいますが、ジムに通うクライマーよりはかなり少ないでしょう。

そう考えると、「60万人」は、正直、かなり「盛った」数字のような気がします。

他のスポーツを楽しんでいる人の数は?

ちなみに、同記事によると、サーフィンは200万人、スケードボードは2万人(!)だそうです。スケボーは少ないですね。びっくりです。あるいは、関係者が正直なのか。。。よくオリンピックに採用されましたねえ。(米国では1,400万人だそうですが)。

最後に、少し前のデータですが、平成23年の調査による、主なスポーツを楽しむ人の数を掲載しておきます。これは、「愛好者」では無くて、1年間に「やったことがある」人の数です。

スポーツクライミングの「60万人」も、1年間に1回でもやったことがある人の数なら、そんなもんかなという気もします。

みなさんは、いかが思いますか?

▼過去1年間にスポーツを行った人数

順位 種目 人数(万人)
1 ウォーキング・軽い体操 4017
2 ボウリング 1462
3 水泳 1203
4 器具を使ったトレーニング 1124
5 ジョギング・マラソン 1096
6 登山・ハイキング 1046
7 サイクリング 1011
8 つり 928
9 ゴルフ(練習場を含む) 924
10 野球(キャッチボールを含む) 812
11 サッカー(フットサルを含む) 638
12 スキー・スノーボード 604
13 バドミントン 543
14 卓球 512
15 テニス 475
16 バレーボール 456
17 バスケットボール 395
18 ソフトボール 354
19 ゲートボール 79
20 剣道 78
21 柔道 60
22 その他 670

『平成23年社会生活基本調査結果』(総務省統計局)データより作成

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