映画『笠置ROCK!』のクラウドファンディングがスタート

日本初の本格ボルダリング映画『笠置ROCK!』のクラウドファンディングがスタートしているのでご紹介します。あわせて、私が考える「クライミング界にとってのこの映画の持つ意義」も書いてみました。

映画『笠置ROCK!』のクラウドファンディング

京都府笠置町のボルダリングエリアを舞台にした、日本初の本格ボルダリング映画『笠置ROCK!』の制作が進められています。ヒロイン役に、プロクライマーの大場美和さんが抜擢されたことでも、大きな話題となりました。

本サイトでは、以前からこの映画をリコメンドしてご紹介しています。

ファンドされた資金は岩場の清掃にも使われる

その『笠置ROCK!』の制作チームが、クラウドファンディングで資金を募っています。

小さな自主制作(というのでしょうか?映画の世界のことはよく知らないので、間違っていたらごめんなさい)の映画が、全国の映画館で上映されるようになったり、海外の映画祭に応募することは、大変なことであろうと想像できます。

また、資金の10%は、笠置ボルダリングエリアの維持、清掃費用にも使われるということです。

関心のある方は、支援を検討なさってはいかがでしょうか?

この映画は単なる「流行もの」ではない、と思います

この映画は、単にボルダリングがブームになっているからテーマにしているのではありません。もしそれだけであると思えば、注目はしますが、あまり応援をする意味はないと思います。

この映画は単にブームに乗った「流行りもの」ではなく、日本でも2番目に人口が少ない町である笠置町(人口約1,400人!)を盛り上げようという意図からも制作されているのです。その証拠に、作品には、笠置町民の約4分の1にあたる約300名が出演なさっているとか。まさに、町ぐるみで制作されている作品なのですね。

これは、産業が少なく過疎化が進む小さな町で、クライミングの「岩場」が、観光資源の目玉となりうることを示す試金石ともなるのではないでしょうか?

そして、今回の映画が成功すれば、いわゆる「アクセス問題」を解消するための、1つの事例が示されることになると考えます。

クラミングにおける「アクセス問題」とは

岩場でのクライミング、ボルダリングには、「アクセス問題」と呼ばれる問題がついてまわります。これは、主にクライマーのマナーが悪いことなどから、岩場の利用(アクセス)が禁止されてしまう問題です。アクセス問題の根は深く、とてもここで簡単に要約することはできません。

しかしそれが起きる背景の1つとして、クライマーが岩場を利用しても、地元への経済的効果がないということがあげられるでしょう。つまり、たくさんのクライマーが集まって、騒がしく岩登りをするけれど、その土地の所有者(土地は必ずだれかが所有しています)や、周りの人になんのメリットもないということです。

メリットがないだけならまだしも、迷惑駐車をする、ゴミを捨てていく、事故をおこして警察や消防の手をわずわせる、など、地元に迷惑をかけることが続けば、当然、「利用禁止」ということになってしまうのです。

また、もう1つの背景としては、クライミングやボルダリングに対する社会的認知度の低さもあります。つまり、山奥の岩場に怪しい連中が集まって、なんだかわけのわからないことをしている、と見られていることです。

このような背景から岩場の利用ができなくなってしまうことが「アクセス問題」で、これを防ぐために、JFA(日本フリークライミング協会)や、地元のクライマー団体などが、各地で大変な努力をなさっています(ありがとうございます)。しかし、残念なことに、アクセス問題は近年でもたびたび発生しているのが現状です。

クライマーと地元の人と、どちらにもメリットを

一方、岩場に人が集まるということは、見方を変えれば岩場が「観光的な魅力」となっているとも言えます。それだけたくさんのクライマーを呼ぶ「魅力」が、岩場にあるのなら、むしろそれを観光資源として積極的に活用できるのではないかという発想も生まれます。

今回の映画「笠置ROCK!」は、こうした試みの1つでもあると思っています。もし、この映画と岩場を通じて、多くの人に笠置町の名前が知れ渡り、訪れてくれる人が増えれば、町にとっては、基本的には悪いことではないはずです。(あわせて、クライマーはなるべく岩場の地元のお店で消費するなどの配慮も必要だと思います)。

映画をハブとして、クライマーと地元の人と、両方にメリットのある形ができるのではないでしょうか。

岩場でのクライミングも知ってほしい

また、映画作品そのものを通じて、岩場でのクライミング、ボルダリングの認知度が上がることも、期待しています。

オリンピック競技への採用で、クライミングへの認知度は以前よりはアップしました。しかし、逆に「クライミングとかボルダリングはジム(人工壁)でやるものでしょ?」「わざわざ外の岩場で登らないで、ジムで登ればいいのに」といった誤解も、広まっている懸念があります。

しかし、これは個人的見解ですが、あえて極端にいえば、クライミングは岩場でやるのが本来の姿なのです。クライミングはそもそもは岩場で行われていたもので、ジムはその代用品にすぎませんでした。もちろん、いまはジムでのクライミングも、それはそれで立派な一ジャンルとなっており、それはそれで悪くないのですが、岩場で登るのが本来の姿であるということは、曲げられないと思います。

それにも関わらず、マスメディアを通じて報じられるクライミングのイメージは、ほとんどが、人工壁で行われる競技クライミングのものであるため、上述のような誤解が生じます。そういう誤ったイメージを持たれることは、日本山岳協会をはじめクライマー団体の側にも大きな責任があると思っています。

少し話がずれましたが、クライミング、ボルダリングの本来の姿を広く理解してもらうきっかけとなるという点で、今回の映画が人工壁での競技ではなく、「岩場」をテーマにしていることは、大変意義深いと考えています。

そのような点からも、当サイトでは映画『笠置ROCK!』を応援しています。

『笠置ROCK!』公式サイト
https://www.kasagirock.com/

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