ボルダリングに早く上達したいなら、上級者に教えてもらうことも大切
ボルダリングがさらに早く上達するコツ
前回の記事では、ボルダリング初心者が上達するためには、まず登る回数・頻度が重要だということを説明しました。登ること自体が最大のトレーニングになります。
ただ、その場合もコツと言うか、意識しておきたいポイントがあります。それは、できれば、自分より上手な人、上級者と一緒に登ることです。
たいていの人は、ボルダリングをはじめるとき、つまりはじめてクライミングジムに行くときは、友だちといっしょに行くでしょう。そして、しばらくの間は、友だちと誘い合っていくことになると思います。友だちと一緒にわいわい言いながら登るのは、とても楽しいですよね。ボルダリングの大きな楽しみ、魅力の一つですから、それはそれで良いことです。
しかし、「上達」という観点から見ると、いつも同じようなレベルの仲間同士で登っているのは、あまり有効ではありません。
ボルダリングの上達とは、使えるムーブの幅を広げること
ボルダリングは、体の動かし方、ホールドの持ち方、足の置き方といったこと、これらすべてを含めて「ムーブ」と呼びますが、たくさんのムーブを身につけることが、なにより大切です。というより、自分が使えるムーブの幅を広げること=上達、なのです。力をつけるより先に、テクニックの幅を広げることが大切です。
ある課題が登れないときに、上から持っていたホールドをアンダーで持つようにするとか、足を切ってカウンターを取るいったことをするだけで、実に簡単に登れてしまうことはよくあります。
ところが、同じようなレベルの初心者仲間だけで登っていると、当然ながら出てくるムーブの幅が、とても狭いので、そういうちょっとしたムーブでもなかなか出てきません。その結果、効率の悪い「ダメムーブ」を延々と繰り返して、挙句の果ては前回説明したように「登れないのは腕の力がないからだ」などと言って、筋トレを始めてしまったりします。
それでも、続けていればもちろん上達し、登れなかった課題もいつかは登れるようになるでしょうが、なるべく早く上達したいと思うのが人情です。
まず考え、上級者に聞き、覚えて応用する繰り返しでムーブは自分のものになる
そういうとき、上級者に聞いてみると、見ただけで、あるいは一度登ってもらえば、ムーブのポイントがすぐにわかりますから、「ここはアンダーで持つといいよ」とか「右足を切ってカウンターを取ればバランスがいいよ」などと教えてもらえます。
重要なのは、その課題が登れること自体ではなく、ムーブの幅が広がることです。「こういうときはアンダーを試してみればいいんだ」とか、「こういう体勢では足を切った方がバランスがいいんだ」ということが、勉強できることですね。
ただし、なんでもかんでもすぐに聞くのも、考えものです。まずは、自分で考えてあれこれ試してみましょう。自分でムーブを「発見する」ことも、ボルダリングの楽しさの一部です。でも、あれこれ試してもだめなら、聞いてみましょう。自分で考えて、試して、それでもわからないときに初めて教えてもらうことで、より強く印象に残り、覚えやすくなります。
それを覚えておいて、必要ならホールドの配置とムーブをメモしておいて、次に似たような課題が出てきたら、それを思い出して試してみる。こういうことを意識すると、上達のスピードがぐんとアップします。
もちろん、教えてもらっても、それが自分にすぐにできるとは限りません。体をどう動かせばいいのかわかることと、実際に動かせることは別です。でも、無駄ムーブを延々と繰り返して、時間と力を無駄にすることは避けられます。
上級者やスタッフに聞くときは、マナーを忘れずに
教えてもらう相手ですが、友だちや知り合いに、一緒に登ってくれるベスト上級者がいればそれがベストです。
もし知り合いにそういう人がいなければ、ジムで、近くで登っている上手い人に声をかけて、教えてもらえばよいでしょう。よほど変わった人じゃない限り、たいていの上級者は、聞けば親切に教えてくれるはずです。
また、ジムのスタッフに聞くのも手です。どのジムでもスタッフは、大抵上級者なので(例外はあります)、手が空いてそうなときに聞けば、教えてくれます。
逆に言うと、そうやって上級者と手軽にコミュニケーションできることも、ボルダリングの魅力です。これは、初心者でも上級者でも、基本的には同じ壁を使うというボルダリングの特徴にもよっていますね。
ただし、だれに聞くのであっても、マナーは忘れずに。言うまでもないことですが、相手の邪魔したり、失礼な態度をとってはいけません。よくタイミングを見計らって、相手がヒマそうなときに聞きましょう。そして、教えてもらったら、「ありがとうございました」ときちんとお礼を言うことも当たり前です。
そして、将来あなたが上達したら、今度は初級者の人に聞かれたときに、親切に教えてあげましょう。そうして、クライミング、ボルダリングのコミュニティをみんなで盛り上げていきましょう。