これだけは覚えておきたい、ボルダリングジムを楽しむための必須マナー5+1
多くの人が集まるジムだから、ルールとマナーが必要
ボルダリングジムには、いろいろなクライマーが集まります。
今日はじめてボルダリングをする初心者から、2段、3段を登る超上級者、コンペのためのトレーニングをするコンペティター、私のようにクライミング歴は長いけど初段も登れない万年中級者のおじさん、などなど。
人によって、ボルダリングに取り組む気持ちや課題への取り組み方も違います。
このように多種多様な人が集まるのボルダリングジムですから、当然ながらみんなが気持ちよく登れるようにルールとマナーを守らなければなりません。(ここでいうルールとは、競技のルールのことではなく、施設利用上のルールのことです。)。
今回は、ボルダリングジムでの一般的なルールとマナーについて説明します。特に、安全面にかんするマナーは、必ず覚えておいてくださいね。
1つの壁に複数のクライマーが取りついていいかどうかは、要確認
施設利用上のルールは、だいたいはどのジムでも共通ですが、ジムによって微妙に異なる部分もありますから、初めて行くジムでは、登る前にスタッフさんに確認しておいた方がいいですね。
けっこうよくある違いが「1面の壁に複数の人が同時に登っていいかどうか」です。複数のクライマーが近くで登ると、衝突事故による怪我などにつながるため、安全上重要なポイントです。
これはジムによってルールが違っていて、
(A)とくに制限を設けておらず、「課題のルートが重ならなければOK」としているジム
(B)「1面の壁には1人ずつしか登ってはいけない」と決めているジム
の2パターンがあります。初めて行くジムでは、どちらのパターンなのかを確認しておいた方がいいでしょう。
必須マナー1:先に登っているクライマーのコースとゴールは必ず確認
(A)のパターンのジムでは、先に登っているいる人がいるとき、後から登る人は、先に登っている人のルートに重ならないか、確認してから登れなければなりません。また、(B)のパターンでも、隣の壁で登っている人が近ければ確認が必要です。
課題によっては、トラバース(横移動)気味に進路が設定されている場合がありますから、「離れているから大丈夫」と思ったら、相手が近づいてきて危険が生じることもあります。ランジなどのダイナミックムーブがある課題では、そのクライマーがいまいる位置よりもかなり離れた位置まですっ飛んでくることもありますから、その点まで含めてよく観察しておく必要があります。
自分が登る前に近くで先に登っている人がどこにいるのかだけではなく、その人が登っている課題のコースとゴールがどこなのかを、登る前によく確認しておきましょう。それがよくわからなければ、他の人が登っている壁では登らない方が安全です。ちょっと待てばいいだけですからね。
また、もしよく確認せずに登ってしまいクライマー同士が接近してしまった場合、先に登っている人に優先権があります。後から登りはじめた人はすぐに降りて壁から離れるのがマナーです。
必須マナー2:マットの中には必要な時だけ入る
ボルダリング壁の前にはマットが敷かれていますが、順番待ちの時などは、このマットには乗らないというルールも、一般的です。ただ、登っている人がいない場合に、壁に近づいてオブザベーション(事前の下見)をするためにマットに入るのは、OKでしょう。オブザベーションが終わったら、すぐにマットの外に出ましょう。(全面マット敷きの場合など、ジムの構造によっては例外もあります)。
たまに、マットの中(壁の前)で長時間オブザベをしている人がいますが、「登るのか登らないのかわからない状態」だと他の人が登れなくて迷惑になります。特に混雑時などは、壁に近づいてのオブザベは短時間で済ませるように心がけましょう。マットに入るのは、なるべく必要なときだけにするのがマナーです。
必須マナー3:登っているクライマーには近づかない
安全面で重要なのは、登っているクライマーには不用意に近づかないことです。いつ落ちてくるかわかりません。ランジなどのダイナミックムーブをする場合、クライマーがかなり遠くまで飛んできたり、転がってくることもあり、ぶつかると大けがにもつながります。登っているクライマーからは、離れるようにし、もしジムの構造上あまり離れられない場合は、クライマーから目を離さないようにしましょう。
また、登っているクライマーの近くを歩いて移動するときにも、注意が必要です。
必須マナー4:グループで壁を独占しない
3,4人以上のグループがひとつの壁でセッション(同じ課題をみんなで登ること)して、次々に交代でトライしていると、そのグループ以外の人がなかなか登れません。
ボルダリングセッションは楽しいので、つい夢中になって周りのことを忘れてしまいがちですが、ジムには自分たちのグループ以外のクライマーもいます。他の人もその壁を登りたいかもしれないと考えて、周りの様子に気を使い、壁を譲り合いましょう。
必須マナー5:ムーブは聞かれなければ教えない。でも、聞かれたら親切に教えてあげよう
知らない人同士でもすぐ交流して、セッションなどができるのがボルダリングの魅力のひとつです。ですから、他の人に話しかけること自体は悪いことではありませんし、マナーにも反していません。
しかし、ある課題が登れない人を見た時、聞かれていないのに「あそこはこうやって登るんですよ」とムーブを教えるのはマナーに反します。ムーブを自分で考えて見つけることも、ボルダリングの楽しみのひとつだからです。
一方、「あそこはどう登るのですか」と聞かれたときは、わかるなら親切に教えてあげましょう。
(ただし、初めてジムに来たような初心者で、まったく登れなくて困っているような様子の場合は、声を掛けてアドバイスしてあげることは、悪くないとは思います。)
おまけマナー:上裸は、控えた方がいいのではないでしょうか?
これは、必須マナーではないかもしれませんが、おまけで書いておきます。
男子クライマーは、シャツを脱いで「上裸」になるのが好きな人が多いですね。少しでも軽くして、あるいは気合を入れて本気トライ、ということかもしれませんし、鍛えた体を自慢したいのかもしれません。極端に暑がりが多いのかもしれません。
脱ぐ人の理由はともあれ、たいていの初心者、特に女子は、上裸のクライマーを見ると、正直「引く」人が多いでしょう。「あまりお近づきになりたくないな」と……。
そのためジムによっては、ルールとして「上裸禁止」としているところがあります。その場合はもちろん脱いではいけません。
そういうルールがないジムでも、街中のことですから、人間社会のマナーとして、あまり闇雲にシャツを脱ぐのはいかがなものかと、個人的には思います。もし脱ぐとしても、本当にここ一番の気合のトライというときだけにしておいた方がいいのではないでしょうか。アウトドアの岩場なら、また違う感覚もあるでしょうけどね。
注意をされたときは、感謝の気持ちを忘れずに
上に挙げたこと以外にも、チョークの使い方(粉チョーク禁止、チョークボール推奨)だとか、裸足でのクライミングは禁止だとか、そのジムだけのローカルルールや、ローカルマナーは、いろいろあると思います。
もし「それはダメですよ」と、他のお客さんに注意されたら、素直にいうことを聞きましょう。人に注意するというのは、する方も面倒だし、ちょっといやなものです。それをわざわざ注意してくれるのですから、「知らなかったことを教えてくれてありがとう」と感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。
なお、今回はマナーがテーマでしたが、ボルダリングの一般的なルールについては、下の記事にまとめてあります。あわせて読んでみてください。