【全解説】スポーツクライミング競技(1)スポーツクライミングとは?:東京オリンピック
オリンピックのスポーツクライミングは3種目が行われる
スポーツクライミングは、2020年開催の東京オリンピックに正式採用されることが決まってから、テレビ番組などで採り上げられることが増え、急速に注目が集まっています。
オリンピック競技として採用されるのは初めてですが、世界的に見れば、ワールドカップ(毎年)、世界選手権(2年に1回)などの国際大会が1980年ごろから定期的に開催されており、競技人口も多い人気スポーツなのです。
さて、東京オリンピックでのスポーツクライミング競技は、次の3種目で行われる予定です。これは、近年のワールドカップ大会などで行われているのと同様です。
・ボルダリング
・スピード(スピードクライミング)
クライミングという競技のなかで種目がわかれているのは、陸上競技ではマラソンや1500m走、100m走などの種目があったり、水泳では平泳ぎや自由形などの種目があったりするのと同じことです。
ちなみに、2016年現在の予定では、スポーツクライミングはこの3種目の混合競技(1チームが3種目を全部行う)として競われる予定です。
同じスポーツクライミング競技でも、リード、ボルダリング、スピードの各種目は、かなり異なる内容です。
そこで、それぞれどんなものなのか、特徴はどこにあるのか、またそれぞれの種目の観戦のポイントは?といった点については、別の記事で種目ごとに解説していきます。
これらの記事で説明しているのは、あくまでオリンピックやワールドカップなどの公式大会における競技としてのスポーツクライミングの概要です。
スポーツクライミングは、競技としても行われますが、競技だけがスポーツクライミングではないことに注意してください。
スポーツクライミング=競技クライミングではない!
クライミングが人工壁での競技として行われる場合「スポーツクライミング」(英語ではSport climbing)と呼ばれます。しかし、スポーツクライミングは、競技だけを指すものではありません。
スポーツクライミングは「強固な確保支点を設置し、安全性を高め、ムーブ(登る動作)の困難性を追求するクライミング」のことです。
スポーツクライミングは、アウトドアの岩場でも、インドアの人工壁でも行われます。そして、人工壁で行われるスポーツクライミングの一部に、大会などの競技クライミングが含まれているのです。
スポーツクライミングを競技(優劣を競うもの)として行っている人はむしろ少数派で、大多数のスポーツクライマーは、人と競うのではなく単純に登ることが好きで登っている人です。
文章の説明だけでは少しわかりにくいですが、図で示すと次のようになります。
3種目の共通点は、人工壁でスタートホールドからゴールを目指して登ること
スポーツクライミング競技の3種目は、異なる点もありますが、共通している点もあります。共通点をを確認しておきましょう。
どの種目においても、選手は人工的に作られた壁(人工壁)を、そこにつけられた「ホールド」と呼ばれる突起物を手掛かり、足掛かりにして、登っていきます。ホールドには「スタートホールド」と「ゴール」が決められており、ゴールまで一回も落ちることなく登り切れば、「完登」(完全に登った=成功)というのが基本的なルールです。
なお、登る選手のことは「クライマー」と呼ぶのが一般的です。(日本では、ボルダリング専門のクライマーを、特に「ボルダラー」と呼ぶこともあります)。
スポーツクライミングでは登るために道具は使わない
どの種目においても、登るために使っていいのは、自分の身体と人工壁につけられたホールドだけというのがルールです。リードとスピードの種目ではロープを使いますが、ロープは選手の安全確保のために使うだけで、ロープをつかんで登るのは禁止されています(失格になります)。
この、登るために道具を使ってはいけないというのは、フリークライミング全般に共通するルールです。
ただし、例外としてクライミングシューズというクライミング用に作られたシューズは履きます。また、体操などでも使う滑り止め(汗を吸収する)のチョークは手に塗ります(塗らなくてもいい)。