クライミングシューズを買う前に知っておきたい基本知識【ボルダリング初心者必見】
クライミングシューズ、ボルダリングシューズはいつ買えばいい?
クライミング、ボルダリングが気に入って、ジムに行く頻度が増えてくると、レンタルシューズ代もバカになりません。たとえば、毎週2回ジムに行き、1回のレンタルシューズ代が400円だとすると、週に800円、月に3200円、半年で2万円近くの出費です。2万円あれば、立派なシューズを買うことができます。
しかし、クライミング、ボルダリングをはじめてすぐのときには、シューズを買わない方がいいという記事を書きました。
人によっても異なりますが、目安として10回以上クライミングを経験すると、さまざまなホールドへの乗り方=シューズの使い方を少しずつ意識できるようになってくるでしょう。
たとえば、極小のカチホールド(ジプス)に乗ったり、そこで足を載せ替えたり、あるいはのっぺりとしたスローパーホールドに、すべらないように置いたり、あるいはヒールフック、トウフックなどの足技を使う課題にトライするようになるかもしれません。そうなってきたら、いよいよマイシューズを買う時期です。
しかし、クライミングシューズ、ボルダリングシューズは、多くのメーカーから様々なタイプのものが発売されており、どれを選べがいいのか迷ってしまいますね。そこで、初心者のクライミングシューズの選び方、買い方を何回かにわけて解説します。
結局、実際に履いて登ってみなければシューズの良し悪しはわからない
まず、クライミングシューズを選ぶ前に絶対に知っておいた方がいいことをお教えします。
それは、結局のところ、そのシューズが本当に良いか悪いか、自分に合うか合わないかは、実際にそのシューズを履いて、壁や岩を登ってみなければわからないということです。それも、短時間ではわかりません。ある程度の期間使い込んでみて、ようやくわかります。
逆に言えば、実際に履いて登る前に「ベストシューズ」を選ぶことは、できないということです。ですから、あまりあれこれと情報を集めたり、迷ったりする必要はありません。
基本さえ押さえておけば、「デザインがかっこいい」「好きなクライマーが履いている」「値段が安い」といった理由で選んでも、ぜんぜん問題ありません。
雑誌のレビュー記事は、気にしない
『ロック&スノー』『クライミングジョイ』『PEAKS』『フィールドライフ』などの情報誌や、『climbing-net』などのWebサイトには、クライミングシューズのレビュー記事が掲載されます。結論から言うと、レビュー記事はあまり役に立たないので、気にする必要はありません。
これらのメディアは、広告で成り立っています。広告主には、シューズメーカーもあり、当然ながら、批判的な記事を正直に書くことはできません。
高いお金を払って広告を出してもらっているメーカーの商品を採り上げて、「このシューズはおすすめできない」と書くことができないことは、常識でわかりますよね。仮に批判的な点について触れるとしても、奥歯にもののはさまったような書き方となり、ベテランならともかく、初心者にはそのニュアンスを読み取ることは難しいものです。
雑誌やメディアのレビュー記事は、クライミングシューズに限らず、たとえ「レビュー」という名前であったとしても、実態は限りなく「広告」に近いと思っておいた方がいいのです。価格など基本的なスペック情報を確認するためには役に立ちますが、実際の利用者目線からの正直な評価は期待できません。
また、上の「履いて登ってみなければわからない」という話と関連しますが、仮に、ある程度中立的な視点から書かれていたとしても、それはあくまで書いた評者の主観です。
シューズのように身体的なものは、人によって合う、合わないの差が大きく、だれにでも合うものはあり得ません。記事を書いた人にとっては高評価でも、それが自分に合うかどうかは、履いて登らなければわからないのです。
その点からも、初心者のうちは雑誌記事などは読む必要はないと断言できます。
店では登れなくても、試着は絶対に必要
実際に壁を登ってみなければわからないと言っても、ショップでは通常、壁を登ることはできません。それなら試着は意味がないのかというと、そんなことはありません。たとえ登ることはできないとしても、店での試着は絶対に必要です。
足の形は人それぞれなので、同じシューズでも人によって、どこかが当たって痛かったり、どこかが余ったりします。このように、履いてみただけで明らかに合わないと感じるシューズは、登るまでなくわかるわけですから、選択肢から除外できます。
また、クライミングシューズは、足にぴったりと吸い付くようなタイトフィットのものを履きます。さらに、表記のサイズ感がメーカーによってばらばらです。そのため、サイズ表記は目安程度にしかならず、実際に履いてみないとサイズ感がわかりません。
サイズの確認のためにも、試着は絶対に必要です。
なお、足の形については、「エジプト型、ギリシャ型、スクエア型」といった分類がなされることがありますが、それもまったく無意味です。その点については、別記事にまとめましたのであわせてお読みください。