初心者が買うべきは、レースアップまたはベルクロ2~3本のシューズ

クライミング・ボルダリングの初心者が初めて買うシューズは、レースアップタイプ、またはベルクロ2~3本締めのものがおすすめです。一方、スリッパタイプはおすすめできません。

ボルダリング初心者は、痛くないことを優先して大き目サイズを選んでもよい

クライミング・ボルダリング初心者のためのクライミングシューズ、ボルダリングシューズ選びには、3つのポイントがあります。

ポイント1:値段の安さを優先する。セール品、特価品などがベスト
ポイント2:2~3本のベルクロタイプ、または、レースアップ(紐靴)タイプ
ポイント3:足先はまっすぐの「ストレート」、底は平らの「フラット」タイプ

ポイント1の「値段の安さを優先する」については、下の記事で解説しました。

はじめてのクライミングシューズは、「値段優先」で選ぶのがよい理由
クライミング、ボルダリングの初心者がはじめて買うクライミングシューズ選び。それにはいくつかのポイントがありますが、第...

今回は、ポイント2について解説します。

上の記事にくわしく書いていますが、初めてクライミングシューズを買う人は、たいてい大き目のサイズを選んでしまいます。そのこと自体は、悪いことではありません。

ジャストサイズのきついシューズは、慣れないうちは痛いものです。痛いのはだれだってイヤですから、シューズを我慢して履いていると、クライミングをすること自体が嫌になってきます。それよりも、快適に履けるサイズのシューズを選んで、楽しく登った方が100倍いいでしょう。楽しくたくさん登った方が、上達も早いはずです。

また、ジムでも外岩でも、低グレードの課題には、極小のホールドをシビアに踏ませるような課題はまず出てきません。そのため、ジャストフィットのシューズを履く必要性自体がそもそも低いのです。

しかし、そういうシューズを履いてクライミングを続けていくうちに、「極小ホールドにうまく乗れない」「ヒールフックのときに脱げそうになる」などの不満が出てくきます。シューズは履いているうちにある程度伸びてきたり、あるいは芯がへたって柔らかくなってきたりすることも、その理由です。

そして、そのような不満を感じてきたら、もう少し小さい(ジャストフィットの)シューズへの買い換え時です。

締め付けが調整できれば、長く履くことができる

それでも、せっかく買うシューズですから、できれば少しでも長く使いたいと思うのは、当然のことですね。少しでも長く使えるシューズ選びのポイントして大切なのが、「締め付けの調整ができるタイプを選ぶ」ということです。

ここで、クライミングシューズを足にフィットさせる方法を確認しておきましょう。普通の靴と同じで、主に次の3種類があります。

▼レースアップ(紐締め)タイプ

紐で締めあげて固定するタイプです。もっともフィットさせることができます。

▼ベルクロタイプ(1本~3本)

ベルクロテープ(マジックテープ)で甲を締め付けるタイプです。ベルクロは1本~3本までのものがあります。ベルクロの本数が多い方が、締め付けの力が強くなります。

▼スリッパ(スリップオン)タイプ

紐やベルクロがなく、足をすぽっと入れるタイプです。甲の部分をゴムで締め付けます。

これらのうち、締め付けによる調整範囲が広いという点では、「レースアップ」→「ベルクロタイプ(ベルクロの本数が多いほどいい)」→「スリッパタイプ」、という順になります。

レースアップか、本数のベルクロタイプなら、「極小ホールドにうまく乗れない」「ヒールフックのときに脱げそうになる」などの不満が出てきたときでも、ベルクロや紐をきつく締めることで、ある程度、対応が可能になるということです。(もっとも、いくら締め付けても全長が変わるわけではないので、あくまで「ある程度」ですが)。

そして、そういう調整が可能なら、たとえば外岩のボルダリングでの「ウォーミングアップ用」(外岩では、ソールの減りがもったいないので、ウォーミングアップ用と、本気トライ用でシューズを使い分けることがよくある)として使ったり、あるいは、マルチピッチクライミング用などとして、長く使い続けることができるでしょう。

レースアップタイプの特徴と欠点

締め付けの調整範囲が広いという点だけなら、レースアップがベストです。

ただし、レースアップには「脱ぎ履きのたびにいちいち紐緩めたり締めたりするのが面倒」ということと、トウフック(足の甲をホールドに引っかける)がやりにくいことの、2つの欠点があります。

それを理解していれば、初めてのシューズとしてレースアップを選択することは、十分にアリです。具体的なおすすめシューズについては、次回の記事でラインナップしてご紹介します。

ベルクロタイプでは、2本のものがバランスが良い

ベルクロタイプには、ベルクロが1本から3本のものまであります。ベルクロ1本のものは、折り返しをすることで、2~3本に近い機能性を持たせているものもあります。

まず、ベルクロ1本のものは、締め付けるためというより、スリッパタイプの弱点である「ヒールフックで脱げやすい」点をカバーするためにベルクロをつけている意味が強く、感触としてはスリッパタイプに近くなります。下で述べますが、スリッパタイプはおすすめできません。

また、「1本折り返しタイプ」は、あまり数は多くありません。すべてではありませんが、中~上級者向けのラインナップに採用されていることが多いタイプです。

一方、ベルクロ3本タイプは、レースアップに近い、しっかりした締め付けをできるのが特徴です。その反面、レースアップと同様、トウフック(足の甲をホールドに引っかける)はやりにくくなります(シューズによっても違いますが)。

そこで、総合的に見るとベルクロ2本タイプがもっともバランスが良く、最初の1足としておすすめできます。もし、レースアップは面倒だと感じるのであれば、ベルクロ2本タイプから選ぶといいでしょう。

ただ、初心者がトウフックがキーとなる課題にトライする機会は少ないと思いますので、3本タイプやレースアップタイプも、決して悪くはありません。

ファイブテン「モカシム」を、初心者が買ってはいけない理由

スリッパタイプは締め付けの調整がまったくできません。そのため、大きめのサイズを買った、あるいは、使っているうちに少し伸びてしまった状態になったときに、どうしようもありません。

また、クライミングシューズの素材には主に「天然皮革」と人工皮革がありますが、天然皮革の方が伸びやすいです。伸びやすいことによって、足になじむのですが、もともと大きめのサイズを買ってしまうと、それに加えて伸びやすいということになり、ガバガバになってしまいます。

したがって、「スリッパタイプ」かつ「天然皮革」というのは、初心者が最初に買うシューズとしてはNGです。

よく売られている有名なシューズでこれに当てはまるものは、ファイブテン「モカシム」スポルティバ「コブラ」などです。

別に、この2つのシューズが悪いものだというわけではありません。両シューズとも、長い間売られている、両社の定番シューズであることからもわかるように、決して性能は悪くないのです。

しかし、初心者が最初に買うシューズとしてはまったくおすすめできない、中・上級者用のシューズなのです。

こういった、「スリッパタイプ」「天然皮革」のシューズは、きつきつのサイズを買って(最初はかなり痛いです)、しばらく使いながら少しずつ足に慣らして、自分の足に合うように伸ばしていく、というのが正しい使い方です。そうやって慣らせば、強力な武器になりえます。しかし初心者にはそれは難しいですし、また、それをする意味もありません。

とくに「モカシム」は、不思議になことに雑誌やWebサイトで「初心者向け」として紹介されているのを見ることがたまにあります。値段が安いという点だけは、たしかに初心者向きですから、それで紹介されるのかもしません。

しかし当サイトとしては、モカシムは、上記の理由から初心者にはまったくおすすめできないシューズだと考えます。

スポンサーリンク
同じカテゴリーの記事