【クライミングの基本技術】ホールドの持ち方3:ピンチ、ラップ、ガバ
ピンチ持ちの基本
ピンチは「つまむ」という意味の英語です。
つまり、ホールドの形状というより持ち方を表す言葉です。そこから転じて、つまむように持てる細長いホールドは、ピンチホールドと呼ばれることもあります。他のホールドではふつう脇役となる親指が、ピンチではメインとなります。親指の力が強い人は圧倒的にこの持ち方が強く、仲間からピンチマンと呼ばれたりします。
持ち方のコツは一番力保持できる方向に親指でホールドを抉(えぐ)るイメージで持つことです。
ホールドの形状にもよりますが、あまりインカットして(えぐれて)いないホールドでピンチ持ちを続けると、スローパーと同じかそれ以上にパワーの消耗が激しいので、もたもたしないで次のホールドに移りましょう。
ピンチ持ちは応用範囲が広い
ピンチ持ちは、基本的には、保持できる面がホールドの両面にある薄いホールドで使うことが多いですが、それ以外でも使う場合があります。
実はこの持ち方はインドアクライミングではかなり応用の幅があります。一般的な人工壁はホールドを壁面に取り付けてあるので、ほとんどの場合でホールドが壁から飛び出ています。つまり、多くのホールドで、やろうと思えばホールドの外側に親指を掛けることができます。
カチをテーマにしたときに、カチピンチを説明しましたが、あれもその一例です。また、スローパーの保持を更に確実にしたいときに親指を立ててピンチ気味にしたり、ポケットの内と外を親指と他の指でピンチして持ったりと、様々な場面で応用が利きます。
ラップ持ちの基本
「ラップ」はつつむという意味の英語です。サランラップのラップですね。
ピンチと同じく、ホールドの形状というより、持ち方を表す言葉です。正面から指でつかむのではなく、横から手のひら全体で包むようにする持ち方を「ラップ(持ち)」と言います。なお、ラップホールドという言い方はあまりしません。
ラップで持てるホールドのほとんどは、正面から指でつかむ普通の持ち方もできます。しかし、ラップ持ちにすると指の力をあまり使わずに済みます。そのため、ラップ持ちできるホールドでは、なるべくラップ持ちをすると、指の力を温存することができるというわけです。
ガバホールドにもコツはある
「ポケット」「スローパー」「ピンチ」などは英語ですが、「ガバ」は日本語です。
ガバホールドとは、文字通り「ガバ」っとつかんで持てる、大きくて持ちやすいホールドのことです。持ちやすいホールドですから、コツもなにもないだろうと思われるかも知れません。
たしかに、ガバを持つのを失敗するということはないのですが、ガバにも持ち方のコツはあります。
初心者の方によくある失敗は、ガバホールドを無駄に強い力で持ってしまうことです。
極端に言えば、ほとんど力を入れずに軽く手をひっかけるだけで持てるようなガバホールドなら、力を入れて握っている必要はないのです。ガバホールドを持つコツは、無駄に力を入れないということです。力の入れ方だけではなく「力の抜き方」も、クライミングでは大切なポイントとなります。
まとめ
いかかでしたでしょうか? ホールドにはそれぞれのタイプによって持ちやすい持ち方があり、指先や手のひらだけでなく、肩や胸など、ホールドに接している部分以外の力も使うことがあります。はじめのうちは、難しいホールドはカチ持ちとピンチ持ちでたいてい対処できますが、5~6級くらいまでの課題がコンスタントに登れるようになったら徐々にホールドに適した持ち方を練習していきましょう。そうすることで、上級者のようなダイナミックなムーヴができるようになってきます。
・ホールドの持ち方(ホールディング)
・足の置き方
・身体の動かし方
によって構成されます。
そのいずれも重要ですが、もっとも基礎となるのはホールドの持ち方(ホールディング)です。なぜなら、両手がホールドから離れてしまったら、あとは落ちるだけ。逆に言えば、ホールドが持てさえすれば、少なくとも落ちることはありません。
さまざまなホールディングをしっかり身につけてください。