トポは無料の時代へ!?『日本100岩場』がネット公開に!

日本全国の主要な岩場のクライミングルート図をまとめたガイドブック『日本100岩場』の内容が、ネット上で無料公開されることになりました。

ロッククライミングに欠かせない「トポ」とは?

岩場でのクライミング、ボルダリング(ロッククライミング)に欠かせないのが、岩場のルート図を集めたガイドブックです。クライミングのガイドブックは、通称「トポ」と呼ばれています。

トポには、岩場へのアクセス方法(場所、駐車場など)をはじめ、その岩のどのラインがなんというルート(課題)なのか、ルートのグレード、その他、ルートについての注意点やコメントなど書かれています。

さらに、岩場にはその岩場ごとのローカルルーやマナー、利用上の注意事項などがありますが、そういった情報も基本的にはトポに書かれています。したがって、外の岩場でクライミングをしようと思ったら、まずトポを入手し、確認するのが最初にすべききとになります。

国内トポの代表『日本100岩場』が無料公開に!

国内で販売されているもっとも有名なトポは、『日本100岩場』(北山真編、山と渓谷社)全5巻です。同書は
「北海道・東北」
「関東」
「伊豆・甲信」
「東海・関西」
「中国・四国・九州」
のエリアごとの各巻に分かれており、日本全国の主要な岩場のルート図を掲載しています。

同書はこれまで1冊2,000円前後、アマゾンのkindle版でも864円~で販売されていました(最後に書くように、kindle unlimitedでの無料公開もあります)。ところが、この10月11日から、同書の出版元である山と渓谷社が運営するWebサイト「CLIMBING-net」で無料公開されることになったのです。

CLIMBING-net

利用には「CLIMBING-net」への会員登録が必要ですが、メールアドレスがあれば簡単に登録できます。ぜひ登録することをおすすめします。

「岩場情報のみ公開」から、「全ルート図公開」に。

同書の出版元である山と渓谷社が運営するWebサイト「CLIMBING-net」内では、もともと『日本100岩場』所収の情報をそのまま使って、岩場の場所や概要などの情報を掲載していました。しかし、肝心のルート図は非掲載でした。これは、同社の商品は本なので「ルート図を見たい人は本を買ってください」ということだったのでしょう。

ところが今後は、ルート図もすべて無料で公開されることになったのです。つまり、本の販売によって利益を得るモデルから、サイトへのアクセスを増やして広告その他で利益を得るモデルへと、ビジネスモデルを転換していこう、ということでしょう。なかなかの英断だと評価できます。

なお、紙の本も併売されるようですので、頻繁に岩場に行く人は、それを買うのもいいでしょう。紙の本には記録を書き込めたり、どこでも使えるという良さがあります。

新しいトポを買うと、わくわくしたものです。

“ロック”クライミングの活性化につながることを期待

同社のビジネス戦略はさておき、多くのクライマー、とりわけこれから外岩での“ロック”クライミングをはじめるクライマーにとっては、非常に嬉しいことです。また、たとえば関東圏に住んでいるクライマーが、九州に旅行に行くので、ついでにちょっとだけクライミングもしたい、というような際に、そのために高いトポを買うのはもったいない話でした。そういう場合にも、トポが無料で入手できるのはとても助かります。

ちなみに、「CLIMBING-net」に掲載されているのは、当然ながら現在利用できる岩場のみです。アクセス問題等によって利用禁止・自粛になった岩場の情報は掲載されていません。

近年、オリンピック効果によってジムでのクライミング、ボルダリングは盛況を見せていますが、その割に“ロッククライミング”、とくにルートクライミングはあまり愛好者が増えていないようです。今回、日本を代表するトポの無料公開化によって、ロッククライミングの拡大につながると良いと思います。

Webサイトの操作性、見やすさは改善してほしい

『日本100岩場』の無料公開化は基本的には素晴らしい英断だと思いますが、「Climbing-net」の日本100岩場のサイトは、とても操作性が悪い作りなのには閉口します。使ってみればわかると思いますが、岩場の一覧性が悪く、逆に調べたい岩場をピンポイントで指定することも難しい、変な検索システムで、とても使いにくいサイトになっています。これはぜひ改善していただきたいものです。

また、ルート図ページに入ると、レイアウトが整理されておらず「とりあえず画像を並べました」的な感じで置かれているだけなので、とくにスマホでの閲覧では、使いにくいページになっています。できれば、見せ方についても、おいおい改善してもらいたいところです。

なお、岩場の状況はどんどん変化します。岩場に行く前に、最新の岩場情報、注意事項などについては、日本フリークライミング協会(JFA)のWebサイトなどで確認してください。

見やすさなら、kindle unlimited版がいい

ちなみに、『日本100岩場』全5巻のうち、「関東」「伊豆・甲信」の2巻については、アマゾンのkindle unlimited(定額読み放題)にラインナップされています。私はkindle unlimitedを利用しているので、両書については、スマホにダウンロードして利用しています。

こちらは、紙の本の誌面をそのままPDFファイルにしたもので、スワイプでの拡大は必要ですが、見やすさという点では、「Climbing-net」よりも優れています。また、ネット環境がない(電波が入らない)ところでも使えるので、kindle unlimitedを利用している人には、こちらの方をおすすめします。

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